アマゾンプライム『マーベラス・ミセス・メイゼル』の感想と挿入歌
こんにちは
最近NETFLIXのドラマばかり観ていましたが、高速道路を走っていたらアマゾンプライムビデオのオリジナル作品の広告が打ってあり、興味が湧いたので観てみました。
本作品は2017年Amazon春のパイロットシーズンから続編が作られたものです。
2018/09/18、追記しました。
マーベラス・ミセス・メイゼル(The Marvelous Mrs.Maisel)
・あらすじ
1958年、ニューヨーク。アッパーウェストサイドに暮らすミッジ・メイゼルは、夫や子供たち、そして華やかな食卓のある幸せな日々を送っていた。ところがその日常が大きく変わる出来事が起こり、彼女は即座に生き方を変える決心をする。主婦だった彼女が、コメディアンになるという驚きの決断をするのだ。監督・脚本は「ギルモア・ガールズ」のエイミー・シャーマン=パラディーノ。
公式サイトより引用
・感想(ネタバレ無し)
ものすごく面白かった。ファッションが鮮やかで観ているだけでわくわくします。素敵なファッションのドラマが好きっていう女性は、第一話のドレス姿を観るだけでうっとりしちゃうと思います。アマゾンプライムドラマ『ザ・セレクション』と衣装担当の方一緒かな?
正直作中のコメディアン達のネタは笑えないものもあるし(差別的発言が多い)、アメリカ人にしかわからないようなネタも多くありました。ですがコメディアンに視点をあてたドラマではなく、1人の女性が温室育ちから自立するまで!といった描かれ方なので、「コメディはちょっとな〜」と思う女性にも観てほしいと思いました。(私はコメディは普段観ません)
・感想(ネタバレあり)
主人公メイゼル・ミッジ(レイチェル・ブロズナハン)が本当に美しい…。鮮やかな緑のコートやピンクのコートの着こなしがあまりに美しくて見とれてしまいました。また感情が顔に出てコロコロ表情が変わるところもとてもチャーミングです。
ちなみにこの女優さん、NETFLIX『ハウス・オブ・カード』のレイチェル役で出演しています。そちらでは恵まれない環境にいる女性を演じていますが、かなりイメージが違いますね。途中まで全然気づきませんでした。Wikiを見たところ初めての主演ドラマが本作のようです。
ミッジは完璧な妻であり母である。化粧を落とした姿ひとつ夫には見せないし、毎日身体のサイズを測って記録し体型だってキープする。夫の趣味のコメディだって一回一回記録し、何がウケたか、どれくらいウケたか、コメディの帰りのタクシーで夫に共有する、文字通りの完璧な妻です。
そんなミッジは夫ジョールに不倫され、夫は家を出ていってしまいます。完璧すぎる妻に息が詰まったかと思いきや、夫は不倫相手と同じような完璧な家を作ろうとするんです。滑稽ですよね。
印象に残ったのは主人公ミッジが、自分の父親に「ジョールに不倫された」とカミングアウトしたシーンです。
父「お前をあの大学にやる時、私はなんて言った?」
ミッジ『「ダメな男を選ぶな」』
彼女が卒業した大学は『ブリンマーカレッジ』というアメリカで実在する女子大です。”セブン・シスターズ”というアメリカの名門女子大7つのうちの1つですね。
当時卒業して働くなんて誰も考えていなくて、いかに良い夫を見つけるか。そのために教養を身につけるといっても過言ではありません。若く出会い22歳で結婚し、26歳の頃には子供2人。完璧な人生が、瞬く間に音を立てて崩れ落ちていきます。
(昔のアメリカの名門女子大生の恋愛・結婚観については映画『モナリザ・スマイル』でも描かれていてこれもまた面白くて私は好きです)
ミッジはひょんなキッカケからコメディアンになることを決意します。そして同時に、生活のためにデパートで働くことも始めました。そして主にコメディでネタにするのは夫の不倫ネタ。歯に衣着せぬ物言いが、またたく間に注目を集めます。
実質マネージャーであるスージーとコメディの方向性で揉めながらも、2人力を合わせて成功していくシーンがまた良いですよね。このスージーがミッジをとても大切に思っている様子も見ていて安心します。この時ミッジは心の寄り何処を無くし、頼れる人も他にいなかったので…。ミッジを軽く見たり、馬鹿にする相手に心の底から怒ってくれる。勿論ミッジが間違った事をした時も怒ってくれる。なんだかお母さんみたいだな〜と思って観ていました。
ミッジは散々ジョールのことをネタにしていましたが、そのことで泣いたりすることはありませんでした。ただ一度だけ涙を流し、半ば強制ではありましたがスージーに肩を抱いてもらいます。スージーは頑固で友情を認めたりしませんが、2人は確かに素晴らしい友情を築いていました。
夫に不倫されて、しかも夫はあたかもその原因をミッジのせいだ!と言わんばかりの態度。ですが第7話で夫は悟ります。逃した魚は大きかった。ミッジのような女性は他にいないと気がつくのです。そしてミッジも、まだ夫のことを愛していると気が付きます。2人は流れに見を流し一夜を共にするわけですが、この時のジョールの謝罪の言葉も記憶に残りました。
謝罪の言葉も言わず、花束も持っていかずにいた事を後悔していた、と述べた上で
『君は多くを持ってる。出会う女の子が魅力的な容姿か、聡明な頭脳か、ユーモアがあるか、親ウケがいいか、その1つか2つでも幸運だ。だが君はその全てを持ってる』
「でもあなたは去った」
『家を出たけど、去ってはいない』
ズルいですよね。いや、あなた去ったでしょ!20代の秘書と不倫したくせに!と私は言いたくなりますが。でも2人には子供も居て、そんなに簡単に切れるものでもなく。ただどうしても女性目線になってしまい、ジョールが憎いですね〜。いやいや、謝罪したいと思うなら身体を求めるのではなく、今花束持ってきなさいよ。少しは誠意を見せなさいよ!と思うのは私だけでしょうか?なんだか都合が良すぎるなぁと。
そして最終話、ミッジのコントをジョールが観に来るのですが。そこではその一夜がネタにされていました。ちょっとここはミッジの気持ちが私にも分からずコメントが書きづらいです。ネタの中で「先日、着替えと私の身体を求め戻ってきた」とディスってますが、結局ミッジにとってジョールはもう、芸の肥やしでしかないのでしょうか?
そしてコメディの最後のセリフは
『夫がいなかったら何を話せばいいの?』
確かに、コメディアンになろうと思ったきっかけも夫で、ウケているのも夫のネタなんですよね。ジョールのプライドはズタズタに傷ついたかもしれないけど、彼女をコメディアンとして面白くしているのは間違いなくジョールの過ちなのです。
ミッジをつまらないと言った観客を殴り、1人とぼとぼ帰っていくジョール…。「彼女は面白いよ」なんて、切ないですね〜。失った感MAXですが、この2人はやっぱりもう駄目なのでしょうか?シーズン2のお知らせもまだ出ていないので迷宮入りです。
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余談ですが、『マーベラス・ミセス・メイゼル』の食器を紹介
また第1話、第2話と、ミッジが夫ジョージのコメディ枠を確保するために劇場に「ミートパイ」を持って交渉しに行くシーンがあります。その時のピンクの食器はアメリカのアンティーク食器好きに人気の『オールドパイレックス』です。
作中ではミッジが「冷蔵保存もオーブン加熱も可能なあのパイレックス!私のパイレックスを返して!」なんて事を言うシーンもありました。
<追記※2018/09/18>
第70回エミー賞、コメディ『マーベラス・ミセス・メイゼル』が最多5冠|ニフティニュース
「マーベラスミセスメイゼル」が今年度のエミー賞で最多受賞となりました。本当に面白いドラマなので、このように評価されてファンとしても嬉しい限りです。そして主演女優賞に選ばれたレイチェル・ブロズナハン!なんて嬉しいニュースでしょう。シーズン2を見てまたレビューをあげたいと思います。
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挿入歌2曲を乗せておきます。
1.come to the supermarket in old peking / The Barbra Streisand Album
2.Cry me a river / Julie London
ではでは